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日本語から考えてみても、だれでも経験的に知っていることは、「聞けなければ話せない、読めなければ書けない」ということである。たとえば、Diederich & Carlton著 Teacher's Manual for Vocabulary for College B (1965) には、次のような記述がある。 "A conservative estimate is that the average high school graduate recognizes approximately 50,000 words in his reading but uses no more than 10,000 in his writing and probably less in speaking." (語彙数は控え目に見て、高校卒の場合で、readingに約50,000語、writingではわずか10,000語ていど、speakingはそれ以下の語彙が使用されていると思われる)これから見ても、 listening (reading) を広範囲にわたって強化しないと、speaking (writing) は伸びないことが分かる。speaking (writing) は、listening (reading) のうち熟知し切った部分を活用するにすぎないからである。■ Listeningに必要な自己学習listeningはspeakingのために必要不可欠であるが同時に自己学習抜きでは習得できない能力でもある。しかもその学習を完成させるためには、なまじっかの長さではなく数千時間にも及ぶ学習、というよりは無限に近い膨大な量の英語を浴びる必要がある。 listeningの学習量は、市販されている20-30本のテープ教材ていどでは、とうていまかないきれない。これらテープ教材は、学習の動機づけまたはヒントにはなりえても、学習そのものとはなりえない。listeningとはテープ教材の広告でうたわれているほど手軽に習得できる能力ではない。「あなただけが習得できる」といった甘いささやきにはくれぐれもご用心。 listeningは自己学習が可能である。その理由は、理解できたかできなかったかは、他人に言われるまでもなく自分で判断できるからである。その点、頼りになるのは、学習者本人であって、指導者でもなく、英語テストでもない。 ■ Listening教材になりうる条件listening教材になりうる条件は「教材が無限に利用できる」ということにある。この条件が満足できなければ、たとえ意欲はあっても、学習は途中で挫折せざるをえない。readingの場合であれば、ペーバーバックでも、雑誌でもいろいろ利用できるので、書店へ行けば読むものがないということはない。これは日本では従来listeningよりreadingのほうが学習しやすかった理由のひとつである。今日では、とくに英字新聞は利用価値が大きい。まずまずの料金で毎日宅配してくれるので、reading学習には便利この上ない。 この条件を満足する listening教材となりうる素材は何か、その教材は無限に利用できなければならない。それはラジオ放送である。しかも中級レベルから利用できるラジオ放送として最適なのはVoice of America (VOA) のSpecial English(特別英語)による放送である。この番組は使用語彙数も2,000語ていどと少なく、話すスピードも毎分100語ていど(日常会話は毎分150語ていど)と限られているので、一般学習者にも理解しやすい。■ Listening学習のさいの注意listeningはreadingと違って、後ろから前へ逆戻りをして意味を取ることはできない。また、時間がないので日本語に訳してから意味を取ることもできない。つまり、listening学習をする前に、または学習をしながら注意すべき点は、reading学習のさいに、あらかじめlistening学習を想定したreading学習を行うことである。すなわち、何がなんでも、同時通訳のように頭から読んで理解する。絶対に戻らない。日本語はなるべく介在させない。この2点に注意すればlistening学習の効果が上がることは間違いない。 © 1997 Yukio Saegusa |
執筆: 元早稲田大学教授 故 三枝幸夫氏
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