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TOEICテストとのつきあい方について
 

TOEICは絶対評価の英語能力テスト
TOEIC(トーイック/Test of English for International Communication)テストは英語によるコミュニケーションの運用能力を一般人であっても費用と時間・手間をあまりかけずに絶対評価で簡便に推し測ることのできるコスト・パフォーマンスのバランスにすぐれたテストです。TOEICは採点評価に際して、母集団の結果分析から各設問の妥当性をチェックし、統計的な比較検証を行 い、一定の基準に照らしてスコア算出(5点単位,L score 5-495, R score 5-495, total scoreはLとRの合算で10-990)しています。これによって、テストフォーム毎の難易度の違いによる評価基準のブレを抑えた一定の尺度による客観的目安を主観判断の補助情報として得ることができます。

 

※TOEICは一問何点×正答数といった単純な積み上げ式のスコア計算ではありません. 受験したテストフォームの難易度によってはたとえ全問題を正解しても listening section 495, reading section 495, total 990のいわゆる「満点」にならないこともあります。統計的な手法で常に一定の基準に照らしてスコア算出していますから、(同じ実力レベルで)今回受験したテストフォームは比較的難しかったから 低い得点だった、今回は易しかったから高い得点がとれたということにはなりません。

2006年からTOEICは一部問題形式を変更しました。それによってテスト全体として旧設問仕様より難しくなったが平均点は変わらないということが、記事や話題になったりするようなことがあるようですが、平均点が新旧変わらないというのは、なんら不思議なことではありません。統計的な比較検証を行い 、ブレない一定の基準に照らした上で点数化する「絶対評価」なのですから。


TOEICスコアは測定誤差を考慮した「幅」として見る
ただし、ひとつの結果スコアを単独で見る際には、total scoreで見る場合+-35点の70点、listening およびreadingのsection scoreとして個別に見る場合は+-25点の50点を測定誤差として考慮してください。結果スコアは必ず測定誤差を考慮した「幅」として見るということです。 この測定誤差範囲の幅内のスコア変動に一喜一憂するのは、テスト結果から現時の実力を客観的に見るということにおいては全く意味がないことです。


個々の結果においては常に測定誤差の範囲に収まるとは限らない
加えて、受験母集団の個々の受験者の結果(あなた個人の一回の一スコア)においては結果スコアが常に能力を正確に反映している(測定誤差範囲内に収まっている)とは限らないということも心得ておかなければなりません。 前述のtotal score +-35点測定誤差範囲は、統計上68%の信頼性でいえることです。32%の確率でその測定誤差範囲内には収まっていない可能性があります。 たとえば、total score400点の場合、そのスコア幅は365-435です。真のスコアがそのスコア幅内に位置している可能性はこの場合、68%の信頼性でいえることです(逆に32%の確率でその測定誤差範囲内には収まっていない可能性があるといえます)。 TOEICスコア結果が示すものは科学的な手法による「推測」なのです。

 

仮に同じテストフォームで受験したtotal score400点の結果とtotal score470点の結果との2つのテストスコアの比較を試みるとします。total score400点 の場合、そのスコア幅は365-435です。total score470点の場合、そのスコア幅 は435-505です。どちらも統計上68%の信頼性で+-35点の測定誤差範囲内におさまっている可能性があります。あえて total score400点 とtotal score470点は共に68%の信頼性でいえる測定誤差範囲におさまっていると仮定して見るとします。その場合でも、お互いのスコア幅は435点で重なっています 。これはそれらの2つのテストスコアのみを判断材料として比較評価する限りにおいては、見た目では2つのスコア結果は400点と470点と明らかに差異があっても明確には能力の差(優劣)があると断言はできないということです。

※その他:初回受験の結果を評価する際の注意点↓
 

一度のテスト結果だけを絶対的なものとして扱うのは要注意
以上のことを踏まえると英語能力を簡易テスト (TOEICはリスニング100問、リーディング100問、連続2時間のマークシート解答選択式テスト)の単独のテスト結果だけを絶対的なものとして盲信して扱うのは、 判断の状況によっては注意を要するということがわかります。TOEICは合否ではなく、スコアで結果表示されるので学習者それぞれに次なる到達目標点を自由に設定したりすることができる利点があります。しかし、前述の測定誤差や精度といった点を充分承知してスコアを見ないと、逆に点数表示であるがゆえに、5点でもスコアの差異が出れば実力の変化 (優劣)があったと断定してしまいがちです。 この点はTOEICスコアによって他人の英語能力を評価する立場にある人、またTOEICを使って自己の英語学習の進捗度を客観的に確かめたいと思う学習者、どちらにおいても多くの方が 、学習・教育活動の進捗成果や英語運用能力を推し測る客観的な評価・判断材料として、TOEICスコアの測定誤差や精度(信頼性)といった要点を把握した上で利用できていません。

 

ただし、テストは大勢の候補者の中から一定の基準に達していない者を事前にふるい分けしたり、レベル別のグループ分けを行う目的に利用する場合があります。いわゆる「足切テスト」 とか 「一次(予備)テスト」 、「クラス分けテスト」といわれるものです。これらは選抜・審査(スクリーニング) が第一の目的でありどちらかというと「受験者個々の真の英語能力レベルがどこにあるのか」を測ることは二義的なものになりますから、(何点)でそのボーダーラインを引くかといったことは判断者の裁量で決めて機能するでしょう。 絞込みやグループ分けすることを目的として使う場合は(その場合、その日その時の運も実力のうちと割り切って)まずはだいたいのところで足切・分類できればよいとするからです。

 

「個々の学習者の真の英語能力レベルがどこにあるのか」をテスト結果を材料に客観的に見て学習・教育プランの参考にしようとするのであれば、信頼性68%の場合、total scoreで+-35点 、section score (L・R)+-25点の測定誤差があることを承知した上で 、それぞれの目的に応じた必要な評価判断 と今後の学習・教育プランの策定を行うべきです。 時間や費用が許されるならば、一回のマークシート式の客観テストの結果に頼るだけでなく、複数回のTOEICテスト結果による判断に加え、記述テストや面談などの主観評価と組み合わせてみるのもよいでしょう。

 

学習・教育活動の進捗状況をTOEICを利用してどう見ればよいのか
TOEICテストで学習・教育活動の進捗成果をより客観的に見てゆくためには、テストの結果は単独ではなく「複数回の結果の経緯を時系列的に総合して見 る」、「total scoreだけではなくlisteningとreadingのバランスにも注目する」ことをお勧めします。 個人の自己学習者の方がTOEICスコアを次なる目標目安に利用する場合には現時(前回)のスコアの+100点以上を目標・目安に してみてはいかがでしょうか。下記の「初めて受験する場合の注意点」「初回受験の結果を評価する際の注意点」を知った上で100点以上のスコアアップを図ることが出来れば、 まあ、実力が向上していると見てもよいでしょう。

 

受験頻度は自己学習の成果測定目的なら年に一度程度で十分
受験頻度は集中研修の事前と事後というような研修効果の測定の目的なら3ヶ月研修、6ヶ月研修の前後受験もありえますが、自己学習の成果をテストによって客観的に測 って確認する目的なら年に一度程度で十分です。英語の運用能力はインスタントに伸びるものではありません。 リスニングとリーディングに関して言えば、どのくらい英語が理解できているかはテストを受験してスコア化するまでもなく学習者自身が一番よくわかっているはずです。 初回のレベルチェック以降は、やみくもに受験するのではなく 「毎日英語を読み聞きし、学習を続けたところ以前より英語が聞き取れるようになった」などの自覚症状があって、学習の成果を具体的に見るためにTOEICという 測定ツール(テスト)を利用して確認するという使い方が順当です。

 

初めて受験する場合の注意点
はじめてTOEICを受験する方には、4つの設問パートからなるリスニングセクション、3つの設問パートからなるリーディングセクションの設問内容とその解答法だけは事前に知っておくことだけはやっておくことをおすすめします。 それがやるべき受験準備です(下に記したTOEICサンプル問題を事前に見ておけばよいでしょう)。TOEICの設問形式(リスニング4パート、リーディング3パート)とその解答方法は固定です。テストの進行順序、リスニング・リーディング各セクションの設問形式、75分のリーディング時間配分など、テストの形式だけは事前にある程度知っておかなければ、実際の実力とは別に テストの解答方法に慣れていないという要因で実力がスコアに適正に反映されないことになりかねません。


 

初回受験の結果を評価する際の注意点
TOEIC受験初回の結果を見る際には、受験者が初回受験時に事前にテスト形式に慣れていたか否かの注意が特に必要です。たとえば、初回受験と二回目の間に学習 ・研修活動に行い、二回目のスコアが測定誤差の幅を超えて大幅に伸びたとしても、テスト形式に全く不慣れだった初回時にはすでにそれだけのスコアを得る実力が備わっていたが、単にテスト形式に不慣れなために実力を適正に反映していないスコアが出ていただけという 学習 ・研修活動の成果の測定・評価という点においては糠喜のケースが大いにありえます。 多くの場合は英語の実力が学習 ・研修活動によって伸びたというより「TOEICというテストの出題形式に慣れた(テストの解答要領を得た)」ことによるスコア増なのです。

 

問題形式になれていない、または問題形式を知らない方の初回のテストスコアは下がる傾向にあります。これは英語レベルが高くない方(初・中級レベル)の方には顕著にあらわれます。初回のテスト結果を含んだテストスコアの伸びを見る際は前述の測定誤差に加えて、「練習効果」によるスコア変動の要因が (場合によっては測定誤差範囲+-35点を越える大きな加点)加わっていることを知っておいてください。教育に携わる方々が研修の好成果や教材の有効性をTOEICスコアの事前事後の伸びで検証(証明)する場合においても、 問題形式に慣れのある充分な数の被験者グループによって行われたものであったか否かということの確認は重要です。

 


・ TOEICサンプル問題

財団法人 国際ビジネスコミュニケーション協会
 TOEIC公式ページ
http://www.toeic.or.jp/toeic/about/tests/sample01.html

 

・ amazon(インターネット書店)でTOEIC公式問題集の情報を見る

新TOEIC公式問題集
 


 

蛇足 - TOEICの受験問題の持ち帰りができない理由

TOEICのテストフォームは、定期的に全国の受験会場で誰もが受験することができる公開テスト(SP)、学校・企業・団体内で任意に決定した日時で実施できる団体特別受験(IP)共に持ち帰りが禁止されています。受験者としては問題を持ち帰って、じっくりと見直ししたいという要望があるかと思いますが、これは別にケチだからということではなく、「測る」という目的のテストの信頼性を保つために問題の非公開は不可欠なことなのです。一定の評価基準を保つためには 新たに作成した設題の妥当性の検証、テストフォームの難易度比較検証を行います。難易度の比較検証のためには過去に使用された設問を新たなテストフォームにいくつか挿入しておかなければなりません。その比較検証に使用する設題が公になってしまっていると 検証に基づいて保たれている一定の評価基準の信頼性が根本からゆらいでしまうのです。

 



資格としての英語テスト利用の過熱について

TOEICは科学的な手法で英語運用能力測定における信頼性を一定に保ち、客観的目安を提示するツールとして開発され、その有用性が認められ普及しました。 本来、人それぞれにばらつきがでがちな判断者の主観判断を補正する客観的な補足情報として利用することが望ましいのですが「英語検定試験信仰と安易なテスト結果絶対視の形式主義」が以前にもまして強まっているようです。
 

日本では検定試験の結果が「英語の資格?」として進学、就職、昇進に有利になるともてはやし、テストの一結果それだけでその人の英語によるコミュニケーション能力・資質を 示す絶対的な証明であるかのように盲信して扱う傾向がしばしば見受けられます。この傾向は本来「英語が上手になるための学習(教育)」であったものを「英語テストが上手になるための学習(教育)」へと本質をすり替えてしまっている状況さえ生じさせています

 

「測るための道具(手段)」 を学習の主対象として目的としてしまっては本末転倒
昨今は好むと好まざるにかかわらず所属する会社(団体)や学校から受験を強いられることもあることと思います。 受験を強いられ、それで自分の能力・資質を他人から評価され、比較される立場の受験者心理として、少しでも高いスコアをとりたいという気持ちになるのは至極当然です。しかし、5点でも10点でも高い得点をとりたいと思うあまりいつのまにかテストテクニックを覚えることが学習活動の目的になってしまうことに陥いってしまう人が少なくありません。
 

TOEICは「その人がテスト受験時点において持っていると思われる英語による運用能力」を科学的な手法によって「推測」するツール(ものさし)です。 真の実力をつける学びの活動をさしおいて、テストという副次的なものの設題形式に要領よく対応する術(選択肢から正答を選び出す要領)を学ぶ「かたち」だけの点数上乗せが教育活動や学習活動の 中心・目的になってしまうと、 費用と時間、労力を費やしてマークシート解答選択式テストの高得点は取れたが実際の英語による対人コミュニケーションの場では、そのテスト取得スコアを基に期待するだけ実力が実際には全く伴っていないというまったくおかしなことが起こります。

 

特に英語学習の意志を持たず、英語能力を習得することの優先順位も低いが、テストの結果体裁をテクニックでどの程度とり繕えるものか否か試してみたい方、どうせなら495点より500点というように実力の向上とは関係なしに、測定誤差幅内のスコア値変動狙いでスコア認定書上の数字の 見た目、見栄えの自己満足または箔付けとしての「かたち」にどうしてもこだわりたい方、英語テストを受けることが趣味だという方 は、それでもよいのかもしれません (そのテストの目的・意味、そして測定に際しての精度等を充分に理解した上で、本人自らの意思でそうしたいと思っているのならば、他人がとやかく言うことではありませんが...)。しかし、自己実現のために英語を学ぶ目的を明確に持って学習に取り組んでいる方は「測るための道具(手段)」 を学習の主対象として中心に据え、目的化してしまっては本末転倒です。それに多大な手間、時間、費用をかけて固執していては、もったいないと思います。

 

もちろん、TOEICテストの模擬問題等の設問も英語への接触量を積み重ねるリスニング・リーディングのトレーニング学習材料となりえます。しかし、それは学習活動のほんの一環としてとらえるべきです。一般に個人が利用可能であろう数セット〜数十セット分の模擬問題量の英語経験だけで学習が完結するはずはありません。 各設題には解答選択肢が提示されていて、その中に必ず正解が含まれているとわかっている 前後の脈絡がない、設題のためにある意味、無理矢理作られた定型の短い英文設問グループを時間配分を考えていかに要領よく解くかということに固執したりせずに、自然な英語情報に日々いかに多く接することができるかを考え、それを学習活動 (英語経験)の主体にすることが英語によるコミュニケーション能力の基礎を築くための学習活動として望ましいでしょう。TOEICは「測る(すでにある英語によるコミュニケーションの運用能力を科学的な手法によって推測)」目的に作られたテストです。設題とその構成は あなたの英語力を「伸ばすため」に設計されているものではありません。

 

会社(団体)や学校がTOEICを採用する理由
会社(団体)や学校などがわざわざ費用と時間をかけてTOEICを採用するのは教育・研修データの一元化、大勢の所属社員(団員)・生徒全員のレベルをおおまかであっても一時に選別・把握する手段、 職員全体への英語学習への動機付け、目標レベル到達までに必要となる教育・研修時間とその教育費用の概算把握、採用した教育・研修プログラム自体の評価や見直しなどの参考として便利だからです。これは大勢の人間を一元管理する際のコストや手間、時間を考慮した上で「共通の尺度による目安」を得るために利用しているということであり、会社(団体)や学校側が職員(団員、生徒)に求めているものは、テスト対策学習によるスコアアップ (かたちだけの英語テスト高得点取得証明書)ではないはずです....おそらく....願わくば。

 

しかし、学校など「教育の現場」で、テスト対策指導を教育の特色として謳い、正規の英語授業時間の多くを割いてまで積極的にTOEIC対策 (「英語」が上手になる教育というより「英語テスト」が上手になる教育)を目的とした授業をこぞって行う様子には個人的に驚かされます。学校教育、特に「大学」は 「学術の研究・教育のための最高機関がある意味、就職支援センター化している」と揶揄されてもいたしかたないかもしれません。

 

組織の一員として、またはその組織の一員になることを希望し、一方的に評価される状況にある方はそれぞれの組織内で規定化された評価制度の下での「形式」に従い、ある程度の成果 ・実力を「形式に沿ったかたち」として示さなければならない立場と事情があることと思います。しかし、大切なのは世界共通語のひとつである英語で、異なる文化や母語の人々とお互いの意志疎通を図り、それぞれの持つ考えや想い、技術、経験を互いに共有したりすることのできる能力を身につけることだということだけは見失なわないようにしてください。 まず、あなた自身の自己実現のために、そしてそのあなたが一員として所属し、働く組織の発展・成功のために。

 

テストはあくまで主観的な判断にひとつの客観的な判断材料を補足提供する役割を担うもの

テストはそれぞれ「何をどう測る(評価する)」といった限定した目的をもって設計されるものです。 たとえば、TOEICはstandardized proficiency test(統計的な手法によって標準化された評価基準に基づいて、受験者の実際の英語運用能力を推し測るテスト)という種類のテストです。担う役割は主として、 現時の英語運用能力について判断者の主観だけでなく、その判断に役立つ情報として客観的なアプローチによる目安 (見当)を補足的に提供することです。 「主役(目的)」としてではなく英語学習・教育の成果評価の「脇役 (目安)」としての位置づけでその役割を果たすことができるものなのです。

 

テストはテストとしてそのツール(道具)を妙に過大評価したりせずにテストのもつ本質的な機能、役割(テストでできること、テストではできないこと)を見きわめて、それぞれの現時の実力把握、学習活動成果の測定、次なる到達目標の設定、動機付けなどに おおよその具体的目安として上手に活用されることをお勧めします。 テスト結果から得られる「目安」の捉え方、使いよう(考え方)を間違えなければ、TOEICはあなたに英語の実力向上のための学習活動に目安や指針を提供してくれる手段として役立つでしょう。 「TOEICとはさみは使いよう」です。 使い手自身(テストを受験する人、およびテスト結果を基に他人の実力を評価する立場にある人)が正しい使い方(扱い方)をしなければ、どんなに良い道具も 役立ちません。

 

 


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