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TOEICテストとのつきあい方について
TOEICは絶対評価の英語能力テスト
仮に同じテストフォームで受験したtotal score400点の結果とtotal score470点の結果との2つのテストスコアの比較を試みるとします。total score400点 の場合、そのスコア幅は365-435です。total score470点の場合、そのスコア幅 は435-505です。どちらも統計上68%の信頼性で+-35点の測定誤差範囲内におさまっている可能性があります。あえて total score400点 とtotal score470点は共に68%の信頼性でいえる測定誤差範囲におさまっていると仮定して見るとします。その場合でも、お互いのスコア幅は435点で重なっています 。これはそれらの2つのテストスコアのみを判断材料として比較評価する限りにおいては、見た目では2つのスコア結果は400点と470点と明らかに差異があっても明確には能力の差(優劣)があると断言はできないということです。
一度のテスト結果だけを絶対的なものとして扱うのは要注意
ただし、テストは大勢の候補者の中から一定の基準に達していない者を事前にふるい分けしたり、レベル別のグループ分けを行う目的に利用する場合があります。いわゆる「足切テスト」 とか 「一次(予備)テスト」 、「クラス分けテスト」といわれるものです。これらは選抜・審査(スクリーニング) が第一の目的でありどちらかというと「受験者個々の真の英語能力レベルがどこにあるのか」を測ることは二義的なものになりますから、(何点)でそのボーダーラインを引くかといったことは判断者の裁量で決めて機能するでしょう。 絞込みやグループ分けすることを目的として使う場合は(その場合、その日その時の運も実力のうちと割り切って)まずはだいたいのところで足切・分類できればよいとするからです。
「個々の学習者の真の英語能力レベルがどこにあるのか」をテスト結果を材料に客観的に見て学習・教育プランの参考にしようとするのであれば、信頼性68%の場合、total scoreで+-35点 、section score (L・R)+-25点の測定誤差があることを承知した上で 、それぞれの目的に応じた必要な評価判断 と今後の学習・教育プランの策定を行うべきです。 時間や費用が許されるならば、一回のマークシート式の客観テストの結果に頼るだけでなく、複数回のTOEICテスト結果による判断に加え、記述テストや面談などの主観評価と組み合わせてみるのもよいでしょう。
学習・教育活動の進捗状況をTOEICを利用してどう見ればよいのか
受験頻度は自己学習の成果測定目的なら年に一度程度で十分
初めて受験する場合の注意点
初回受験の結果を評価する際の注意点
問題形式になれていない、または問題形式を知らない方の初回のテストスコアは下がる傾向にあります。これは英語レベルが高くない方(初・中級レベル)の方には顕著にあらわれます。初回のテスト結果を含んだテストスコアの伸びを見る際は前述の測定誤差に加えて、「練習効果」によるスコア変動の要因が (場合によっては測定誤差範囲+-35点を越える大きな加点)加わっていることを知っておいてください。教育に携わる方々が研修の好成果や教材の有効性をTOEICスコアの事前事後の伸びで検証(証明)する場合においても、 問題形式に慣れのある充分な数の被験者グループによって行われたものであったか否かということの確認は重要です。
蛇足 - TOEICの受験問題の持ち帰りができない理由 TOEICのテストフォームは、定期的に全国の受験会場で誰もが受験することができる公開テスト(SP)、学校・企業・団体内で任意に決定した日時で実施できる団体特別受験(IP)共に持ち帰りが禁止されています。受験者としては問題を持ち帰って、じっくりと見直ししたいという要望があるかと思いますが、これは別にケチだからということではなく、「測る」という目的のテストの信頼性を保つために問題の非公開は不可欠なことなのです。一定の評価基準を保つためには 新たに作成した設題の妥当性の検証、テストフォームの難易度比較検証を行います。難易度の比較検証のためには過去に使用された設問を新たなテストフォームにいくつか挿入しておかなければなりません。その比較検証に使用する設題が公になってしまっていると 検証に基づいて保たれている一定の評価基準の信頼性が根本からゆらいでしまうのです。
TOEICは科学的な手法で英語運用能力測定における信頼性を一定に保ち、客観的目安を提示するツールとして開発され、その有用性が認められ普及しました。
本来、人それぞれにばらつきがでがちな判断者の主観判断を補正する客観的な補足情報として利用することが望ましいのですが「英語検定試験信仰と安易なテスト結果絶対視の形式主義」が以前にもまして強まっているようです。
日本では検定試験の結果が「英語の資格?」として進学、就職、昇進に有利になるともてはやし、テストの一結果それだけでその人の英語によるコミュニケーション能力・資質を 示す絶対的な証明であるかのように盲信して扱う傾向がしばしば見受けられます。この傾向は本来「英語が上手になるための学習(教育)」であったものを「英語テストが上手になるための学習(教育)」へと本質をすり替えてしまっている状況さえ生じさせています。
「測るための道具(手段)」 を学習の主対象として目的としてしまっては本末転倒 TOEICは「その人がテスト受験時点において持っていると思われる英語による運用能力」を科学的な手法によって「推測」するツール(ものさし)です。 真の実力をつける学びの活動をさしおいて、テストという副次的なものの設題形式に要領よく対応する術(選択肢から正答を選び出す要領)を学ぶ「かたち」だけの点数上乗せが教育活動や学習活動の 中心・目的になってしまうと、 費用と時間、労力を費やしてマークシート解答選択式テストの高得点は取れたが実際の英語による対人コミュニケーションの場では、そのテスト取得スコアを基に期待するだけ実力が実際には全く伴っていないというまったくおかしなことが起こります。
特に英語学習の意志を持たず、英語能力を習得することの優先順位も低いが、テストの結果体裁をテクニックでどの程度とり繕えるものか否か試してみたい方、どうせなら495点より500点というように実力の向上とは関係なしに、測定誤差幅内のスコア値変動狙いでスコア認定書上の数字の 見た目、見栄えの自己満足または箔付けとしての「かたち」にどうしてもこだわりたい方、英語テストを受けることが趣味だという方 は、それでもよいのかもしれません (そのテストの目的・意味、そして測定に際しての精度等を充分に理解した上で、本人自らの意思でそうしたいと思っているのならば、他人がとやかく言うことではありませんが...)。しかし、自己実現のために英語を学ぶ目的を明確に持って学習に取り組んでいる方は「測るための道具(手段)」 を学習の主対象として中心に据え、目的化してしまっては本末転倒です。それに多大な手間、時間、費用をかけて固執していては、もったいないと思います。
もちろん、TOEICテストの模擬問題等の設問も英語への接触量を積み重ねるリスニング・リーディングのトレーニング学習材料となりえます。しかし、それは学習活動のほんの一環としてとらえるべきです。一般に個人が利用可能であろう数セット〜数十セット分の模擬問題量の英語経験だけで学習が完結するはずはありません。 各設題には解答選択肢が提示されていて、その中に必ず正解が含まれているとわかっている 前後の脈絡がない、設題のためにある意味、無理矢理作られた定型の短い英文設問グループを時間配分を考えていかに要領よく解くかということに固執したりせずに、自然な英語情報に日々いかに多く接することができるかを考え、それを学習活動 (英語経験)の主体にすることが英語によるコミュニケーション能力の基礎を築くための学習活動として望ましいでしょう。TOEICは「測る(すでにある英語によるコミュニケーションの運用能力を科学的な手法によって推測)」目的に作られたテストです。設題とその構成は あなたの英語力を「伸ばすため」に設計されているものではありません。
会社(団体)や学校がTOEICを採用する理由
しかし、学校など「教育の現場」で、テスト対策指導を教育の特色として謳い、正規の英語授業時間の多くを割いてまで積極的にTOEIC対策 (「英語」が上手になる教育というより「英語テスト」が上手になる教育)を目的とした授業をこぞって行う様子には個人的に驚かされます。学校教育、特に「大学」は 「学術の研究・教育のための最高機関がある意味、就職支援センター化している」と揶揄されてもいたしかたないかもしれません。
組織の一員として、またはその組織の一員になることを希望し、一方的に評価される状況にある方はそれぞれの組織内で規定化された評価制度の下での「形式」に従い、ある程度の成果 ・実力を「形式に沿ったかたち」として示さなければならない立場と事情があることと思います。しかし、大切なのは世界共通語のひとつである英語で、異なる文化や母語の人々とお互いの意志疎通を図り、それぞれの持つ考えや想い、技術、経験を互いに共有したりすることのできる能力を身につけることだということだけは見失なわないようにしてください。 まず、あなた自身の自己実現のために、そしてそのあなたが一員として所属し、働く組織の発展・成功のために。
テストはあくまで主観的な判断にひとつの客観的な判断材料を補足提供する役割を担うもの テストはそれぞれ「何をどう測る(評価する)」といった限定した目的をもって設計されるものです。 たとえば、TOEICはstandardized proficiency test(統計的な手法によって標準化された評価基準に基づいて、受験者の実際の英語運用能力を推し測るテスト)という種類のテストです。担う役割は主として、 現時の英語運用能力について判断者の主観だけでなく、その判断に役立つ情報として客観的なアプローチによる目安 (見当)を補足的に提供することです。 「主役(目的)」としてではなく英語学習・教育の成果評価の「脇役 (目安)」としての位置づけでその役割を果たすことができるものなのです。
テストはテストとしてそのツール(道具)を妙に過大評価したりせずにテストのもつ本質的な機能、役割(テストでできること、テストではできないこと)を見きわめて、それぞれの現時の実力把握、学習活動成果の測定、次なる到達目標の設定、動機付けなどに おおよその具体的目安として上手に活用されることをお勧めします。 テスト結果から得られる「目安」の捉え方、使いよう(考え方)を間違えなければ、TOEICはあなたに英語の実力向上のための学習活動に目安や指針を提供してくれる手段として役立つでしょう。 「TOEICとはさみは使いよう」です。 使い手自身(テストを受験する人、およびテスト結果を基に他人の実力を評価する立場にある人)が正しい使い方(扱い方)をしなければ、どんなに良い道具も 役立ちません。
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